category-9 ブログ

プログラミングの必要性【1/5】

ブログ

2025.05.12

【第1回】なぜ今、子どもにプログラミング教育が必要なのか?〜時代の変化と教育の進化〜

はじめに:プログラミング教育が必修化された理由

2020年度から、小学校でプログラミング教育が必修化されました。中学校ではすでに技術・家庭科でのプログラミングが取り入れられており、さらに2022年からは高校でも「情報I」としてプログラミングが教科化されました。この流れは、日本社会がこれからの時代において、子どもたちにどんな力を身につけてほしいと考えているかを明確に示しています。

プログラミング教育とは、単にコンピューターを使ってコードを書く訓練ではありません。それは、子どもたちに“論理的に考え、自分で課題を発見し、解決策を導き出す”という「思考の技術」を育むための土台です。

社会の変化と未来の職業像

私たちが生きる現代社会は、AI、IoT、ロボット、ビッグデータなどに象徴される「第4次産業革命」の真っ只中にあります。こうした技術の進化は、私たちの生活を便利にする一方で、仕事のあり方や価値観さえも大きく変えつつあります。

「今ある仕事の半分が10〜20年以内に機械に置き換わる」と言われるほど、これからの子どもたちが社会に出る頃には、今とは全く違ったスキルが求められているかもしれません。もはや、知識を詰め込むだけの教育では不十分で、「自分で考える力」や「変化に柔軟に対応する力」がより重要になるのです。

そのためにも、プログラミングという“現代の読み書きそろばん”を学ぶ意義は極めて大きいのです。

プログラミング=単なる「技術」ではない

プログラミングというと、「難しそう」「理系の人向き」といったイメージが先行しがちですが、実は本質はまったく異なります。プログラミング教育の最大の目的は、「正確に順序立てて物事を考える力=論理的思考力」を育てることにあります。

たとえば、子どもがScratchというビジュアルプログラミングツールでキャラクターを動かそうとすると、「どのブロックを、どんな順番で、どこに配置するか」という考えが必要になります。これは、問題解決のための「筋道を立てる力」そのものです。

また、実際にプログラムを動かすと、思い通りにいかないことも多々あります。そんな時、子どもは試行錯誤を繰り返して「何が原因か」を突き止め、修正を試みます。このプロセスこそが、「失敗を恐れず、自ら学ぶ姿勢」を養う貴重な機会なのです。

海外の教育動向との比較

日本だけでなく、世界中でプログラミング教育は進んでいます。たとえば、エストニアやフィンランドでは、10年以上も前から小学校低学年でのコーディング教育がスタートしています。イギリスでは2014年から5歳以上に必修化。アメリカでもSTEM教育(科学・技術・工学・数学)を推進する中で、プログラミングが重要な柱のひとつとなっています。

こうした国々では、プログラミングを通じて、子どもたちの創造力や論理的思考、チームワークなどを育成することを目指しています。日本でもようやくその流れに追いつきつつあり、今後はますます教育現場でのプログラミングの活用が広がることが予想されます。

まとめ:今の子どもたちにとって「読む・書く・計算する」に並ぶ力

私たち大人が「国語」や「算数」を学んできたように、これからの時代を生きる子どもたちにとって、「プログラミング的思考」は必須のスキルです。それは、すべての職業に直接的に関わるものではないかもしれませんが、どんな仕事や暮らしの中にも応用できる「基礎体力」となる力です。

そして何より、プログラミングを学ぶことは、子ども自身が「考えること」「工夫すること」「自分で何かを生み出すこと」の楽しさを知る、素晴らしいきっかけにもなります。

これからの連載では、具体的にどのような力が育まれるのか、また、子どもたちの学びを支えるにはどうしたらよいかを、さらに深掘りしていきます。次回は、「小学生がプログラミングで身につける『考える力』」についてお話しします。

この記事をシェアする