プログラミングの必要性【3/5】
第3回】「プログラミングって楽しい!」が学びの原動力〜子どもたちの創造力と自信を育てる方法〜
はじめに:遊びと学びの境界線を超える力
「プログラミングって楽しい!」と目を輝かせる子どもたちが増えています。
特に小学生のうちは、勉強と遊びの区別がまだ曖昧だからこそ、「楽しい」という気持ちがそのまま「学び」へと変わる瞬間があります。
教育の中でも、最も強力な原動力となるのが「自分でやりたい」という内発的な動機です。
プログラミングはその力を自然と引き出し、「創造力」や「自信」といった、子どもたちの未来を支える根っこを育ててくれる教育なのです。
創造する喜び:自分だけの作品をつくる体験
プログラミング学習では、「何を作ってもいい」という自由があります。これは他の教科ではなかなか味わえない感覚です。
たとえば、Scratchでゲームを作るとき、「どんなキャラクターを登場させよう?」「どんなルールにしよう?」といった構想から始まり、背景や音、操作方法まで、すべて子ども自身が決めることができます。
この“ゼロから自分でつくる”という体験は、子どもの創造力を刺激し、同時に「自分の頭で考えて形にできた」という大きな達成感につながります。
美術や音楽と違い、絵が苦手でも、音が読めなくても、プログラミングなら自分の思いを自由に表現できるという点も、多くの子どもたちにとって魅力的です。
自信を育てる:動いた瞬間の感動が成功体験に
プログラミングの醍醐味のひとつは、「自分で作ったものがその場で動く」という即時性です。
ブロックを組み立てて「実行」ボタンを押した瞬間、自分の作ったキャラクターが思い通りに動いたり、音を鳴らしたり、得点が表示されたりすることで、子どもたちは「できた!」という感動を味わいます。
この小さな成功体験の積み重ねは、やがて大きな自信へと変わっていきます。
特に、普段は勉強が苦手な子や自己肯定感の低い子ほど、「プログラミングならできた」「みんながすごいって言ってくれた」と感じることで、新たな自己認識を持つようになります。
STEAM教育とのつながり
最近よく聞く「STEAM教育」は、Science(科学)、Technology(技術)、Engineering(工学)、Art(芸術)、Mathematics(数学)の頭文字を取った教育方針です。
この中で、プログラミングはテクノロジーとエンジニアリングの要素を中心にしつつ、子どもが「表現する手段」としてアートと融合する場面も多く見られます。
たとえば、物語を作りながらキャラクターを動かすプログラムでは、「ストーリー構成力」や「演出のセンス」といった芸術的要素も活かされます。また、ゲームの得点計算などで数学的な考え方を取り入れることで、算数への興味が自然と深まることもあります。
つまり、プログラミングは単なる技術ではなく、さまざまな教科や才能を横断する“融合型の学び”として、子どもたちの多様な能力を引き出すツールなのです。
保護者・指導者の関わり方
では、子どもたちが「楽しい!」という気持ちを持ち続けるには、大人はどう関わればよいのでしょうか。
まず大切なのは、「評価しない」ことです。
大人から見ると、子どもが作ったプログラムは稚拙に見えるかもしれません。でも、その中には確実に「考えた跡」「試した跡」「工夫した跡」があります。
その努力を認め、「よくこんなふうに作ったね!」「どうやって思いついたの?」と問いかけることで、子どもは「自分のやっていることが価値あることなんだ」と実感できます。
また、親や先生自身がプログラミングに詳しくなくても、一緒に楽しむ姿勢があれば大丈夫です。
「すごいね!」「わからないけど、おもしろそうだね!」という一言が、子どもにとっては何よりの応援になります。
まとめ:「楽しい」が学びを加速させる
子どもが夢中になって何かに取り組むとき、そこには必ず「楽しい」という気持ちがあります。
プログラミングは、失敗しても何度でもやり直せる環境があり、自由な発想が認められ、成功したときにはすぐに結果が見える、まさに子どもの学びに理想的なツールです。
そして、その楽しさの中から、創造力、自信、挑戦する姿勢が育まれていきます。
次回は、「中学生になるとどう変わる?進化するプログラミングの学びと進路へのヒント」と題して、より本格的な学びに入っていく中学生のプログラミング教育について詳しくお伝えします。