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プログラミングの必要性【2/5】

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2025.05.19

【第2回】小学生がプログラミングで身につける「考える力」〜論理的思考と問題解決力の育成〜

はじめに:「考える力」を育てるツールとしてのプログラミング

前回の記事では、なぜ今の子どもたちにプログラミング教育が必要なのかを社会の変化とともにご紹介しました。今回は、プログラミングがどのようにして子どもたちの「考える力」を育てていくのかに注目してみたいと思います。

多くの保護者の方は「プログラミング=パソコンでコードを書く難しい作業」とイメージされるかもしれませんが、実際の小学生向けプログラミング教育では、テキストコードではなく「ブロック型」のプログラミング言語(例:ScratchやViscuitなど)を使って、遊びのように学ぶのが主流です。

この中で子どもたちは、自然と論理的思考力や問題解決能力を鍛えています。では、それは具体的にどのような形で表れているのでしょうか?

論理的思考とは何か?その重要性とは?

「論理的思考力(ロジカルシンキング)」とは、筋道を立てて物事を考え、説明し、判断を下す力です。感覚や直感に頼るのではなく、「なぜそうなるのか?」「どうすればうまくいくのか?」を順序立てて考えることが基本です。

小学生にとってはまだ抽象的なこの能力ですが、プログラミングを使えば体験として自然に身についていきます。

例えば、「キャラクターを右に10歩進ませる」ためには、どんな命令をどの順番で与えればよいかを考え、組み立てる必要があります。そして、次の命令に移る前に、その動作が完了していることを確認するなど、論理的な順序性が要求されます。

この思考の積み重ねが、「原因と結果をセットで考える力」や「他者に自分の考えを説明する力」にもつながっていきます。

プログラミングが育てる問題解決能力

もうひとつ、プログラミング学習を通じて大きく育まれるのが「問題解決力」です。

プログラムをつくる過程では、必ずといっていいほどエラーやバグが発生します。たとえば、「キャラクターが動かない」「思ったタイミングで音が鳴らない」など、期待した動作にならない場面に直面します。

しかし、この「うまくいかない」経験こそが大切なのです。

子どもたちは、「なぜうまく動かないのか?」を考え、ブロックの並び順を見直したり、条件を変更して再度実行したりしながら、少しずつ解決の糸口を見つけていきます。この過程で「トライ&エラー」を繰り返す習慣が身につき、自分で答えを導き出す力が鍛えられていきます。

これはプログラミングに限らず、将来さまざまな場面で役立つ「生きる力」となります。

Scratchなどを使った実際の学習例

子ども向けの代表的なプログラミング教材「Scratch(スクラッチ)」では、カラフルな命令ブロックを組み合わせてキャラクターを動かしたり、ゲームを作ったりできます。

例えば、「ネコが100歩進んで、リンゴに触れたら“やった!”と言う」プログラムを作るには、以下のような論理の流れが必要です。

1. スタートの合図を作る(例:「旗が押されたとき」)
2. ネコを動かす(例:「10歩動かす」を10回繰り返す)
3. 条件をつける(例:「もしリンゴに触れたら」)
4. メッセージを表示する(例:「やった!」と話す)

このようなタスクをクリアするには、「どのタイミングで」「どの命令を」「どの順序で」並べればよいかを考えなければなりません。また、自分の思った通りに動かなければ、何度も組み直して試すことになります。

この「考える→試す→失敗する→また考える」というプロセスが、自然と身につくのがプログラミング教育の魅力なのです。

家庭や学校でできる「考える力」の育て方

では、家庭や学校では子どもの「考える力」をどう育てていけばよいのでしょうか?

最も効果的なのは、大人が「答えを教える」のではなく、「問いを投げかける」ことです。例えば、プログラムが動かなかったときに「何が違ったのかな?」「どうすればよくなると思う?」と声をかけるだけで、子どもは自分の頭で考えようとします。

また、「なぜそうしたの?」と理由を聞くことも大切です。これにより、子どもは自分の考えを言葉にしようとし、論理的に説明する訓練になります。

そして何より、失敗したときに「ダメじゃん」ではなく、「そこに気づいたのはすごいね!」とポジティブにフィードバックすることで、子どもは「考えること」自体に楽しさを見いだせるようになります。

まとめ:プログラミングが育てる「生きる力」

小学生にとってのプログラミングは、決して特別な才能が必要な難しい学問ではありません。それは、自分の考えを形にし、試行錯誤を通じて学ぶ、未来型の「考える遊び」でもあります。

論理的思考力と問題解決力は、これからの社会で生きていく上で不可欠な力です。プログラミング教育は、それらを子どもが自分の力で楽しく学べる、非常に効果的な手段なのです。

次回は、「プログラミングって楽しい!」という気持ちがどのように子どもの学びを加速させるのか、創造力や自信との関係について掘り下げていきます。

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